中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ21 回答例「その気にさせる!ネーミング

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みなさん、こんにちは。

今回のテーマはいかがでしたか?おもしろかった?

おもしろかったあなたは、マーケッターやクリエーター向きですよ!

 

では、早速、回答例です。今回は本格的なマーケティングの話も少ししてみますね。

 

Q1 みなさんの中で、「この商品のネーミングすごいよね」と思う商品を探してみてください。(情報収集力)みなさんなりの商品見つけてくださいね。

 

どうでした?気になるネーミングの商品見つかったかな?

 

マーケティングで有名なのは、ネピアの「鼻セレブ」という高級ティッシュペーパーです。もともとは、「モイスチャーティッシュ」という名前でしたが、その名前では全然売れなかったのが名前を変えたら、一気に売上が3倍以上になったそうです。また、日清食品の「カレーメシ」も以前は「カップカレーライス」という名前でしたが、名前を変更したら、話題になって売れたそうです。

 

あと、みなさん、小林製薬という会社はご存知ですか?薬品やら日用雑貨まで商品開発がユニークな会社として知られていますが、ネーミングでも有名な会社です。例えば、みなさんも知っている発熱の際におでこに貼るのは、「熱さまシート」、トイレの瞬間消臭スプレー「トイレその後に」、肩こりのお薬などは「コリホグス」などスゴイわかりやすいネーミングが勢ぞろいしています。興味があったら、一度ホームページで見てみてくださいね。

 

Q2 さて、その商品のネーミングは、どういう点ですごいのか私に教えてください(分析力・創造力・表現力)「誰に」、「何を」、「どのように伝えている」からの視点で教えてください。

 

例えば「鼻セレブ」で私なりに分析してみましょう。

「誰が」

 

鼻セレブ」は、女性特に花粉症などで、一日何回もティッシュを使う方がターゲット。使う頻度が多いと鼻がだんだん赤くなってきますよね。そこで、「ダブル保湿」と「天然由来スクワラン配合」を含んだティッシュペーパーを発売。で、そのネーミングを当初「モイスチャーティッシュ」としたんでしょうね。

 

「何を」「どのように伝えているか」

 

「モイスチャーティッシュ」とつけた時は、商品の特長であった「ダブル保湿」と「天然由来スクワラン配合」のことを伝えようと「モイスチャー」という言葉を使ったのですが、その成分が上手く伝わらなかったようですね。

「潤い」のイメージはしそうですが、見えないし、分からなかった。

 

そこで「セレブ」という当時はやっていて、高級感をイメージさせるワードに変えた。女性は、「セレブならいいモノを使う」と受け取るし、「花粉症の時だって、鼻真っ赤にしないし・・・」って、自然とイメージ?(分かりませんが・・・)、そして女性の目を引く動物の写真を使ったパッケージで目立つようにしたことが売場でも目立って売れたのではないでしょうか?

 

同じ商品でもターゲットを「その気にさせる」ポイントを変えると、買ってもらえるという良い事例です。

 

では「その気にさせる」ポイントって何?

 

これはすごくマーケティングな知識ですが、知っておくと非常に使えるものです。

商品には大きく4つの価値があると考え、それぞれの価値からどの価値がその商品のユニークなポイントかを検討するという方法です。

「価値マップ」というもので表しながら、説明します。

 

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わかりますか?なんか専門的でしょ笑。

 

縦の軸は、その商品の特長が、イメージ(印象)に訴えるものかパフォーマンス(効果、成果)に訴えるものかという軸です。

ヨコの軸は、その商品の特長が、商品そのものにあるのか、商品を「持つ」・「使う」という行為(コト)にあるのかを示しています。

で、それぞれの象限が価値を表しています。

 

「機能価値」

機能的に優れている価値を持っている。たとえば、これまでのモノよりも「効果が高い」、「短時間でできる」、「操作が簡単」などのモノのパフォーマンスに関わる価値

 

「品質価値」

作っている素材の良さや、作り方など品質的に優れている商品。

例えば、このバッグは、日本製の皮革を使っています。あるいは、本場の職人が手作りで丹精込めて作っています。のように品質が他より良いといったものですね。

 

「感覚価値」

五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)などに優れた価値を持っている商品。

「デザインが良い」、「カラーが斬新」、「手触りがすべすべ」などですよね。

 

「精神価値」

これは、その商品を持つことによって、他の同じ商品以上に心が満たされるような商品。もうちょっとわかりやすく言うと、ブランド商品やキャラクター商品です。ナイキやアディダズのシューズ、iPhone、ディズニー商品などですね。

 

どうですか?

何となくでも整理できますよね。では、「鼻セレブ」はどの価値でしょう?

そう!感覚価値と機能価値あたりですね。

 

えっ?「単に安いっていう商品はどの価値なの?」って思った方・・・さすがです。

確かに、価格が価値の商品もありますよね。では、価格が価値ってどういうことでしょうね。

 

価格って、商品そのものの価値に対して、「高いか、安いか」って考えますよね。具体的には、「こんなに良いものがこの値段!?」(テレビショッピングでよく聞くフレーズですよね笑)とか、「コスパがいいじゃん!」っていうふうに。

つまり、説明した4つの価値を覆うような形で「価格」の価値はあるんですね。(これを経済的価値といいます。)

 

価値マップ上では、こうなります。

 

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ちょっと、難しかったかな?

これを覚えておいて、周りにある商品や新商品がどの価値にあたるのか考えていくと、もうみなさんは、マーケッターです笑。

 

さて、価値の特定はできました。

そしてその価値をどう伝えるか?

 

この表現が一番大切で、難しいけど楽しい、クリエイティブなところです。

ここにもいくつか考えるポイントがあります。

 

私が思うポイントは、

・覚えやすさ

・言いやすさ

・他の商品と違うユニークなこと

など

基本的なポイントと共に、

これからは、「スピード」や「ターゲットがすでに持っているイメージを使う」がポイントなのかなと考えます。

 

「スピード」とは、直観的かどうかということです。みなさんもそうですが、世の中には情報があふれかえっています。そのなかで、その商品を出会ったときに、理解するのに時間のかかるネーミングは、何度も何度も出会わないと覚えてもらえない。パッと伝わる方が、覚えてもらうのには良いですよね。

 

「ターゲットがすでに持っているイメージを使う」というのは、ハーゲンダッツのアイスの例です。商品の価値を「不思議の国のアリス」や「白雪姫」といった童話とくっつける。すると、もともとターゲットが知っているイメージをその商品のイメージとして捉える。そのことで商品の価値がわかりやすくなったり、ターゲットが勝手に想像して、イメージを広げてくれたりしますよね。

 

ネーミングを考えるときのポイントの一つかと思います。

 

Q3 では、ここからはみなさん商品開発のメンバーです。以下の商品に素敵なネーミングをしてみてください。(創造力、表現力)

 

商品:チョコレート

 

想定ターゲット:なんと!学校の先生です。笑!

 

特長:

 

1.片手でつまめる小粒タイプにしています。

 

2.チョコレートの持つ糖分補給による集中力アップ効果のある「集中!」チョコと、リラックス効果のある香りをもつ「休憩!」チョコの2種類が入っています。

 

3.「集中!」チョコの方は、糖分の方は気になる方のために糖質をオフにしています。

 

4.パッケージは、携帯しやすく、机の中に入れても一見チョコレートと分からない<笑>スマホサイズの缶のペンケースのようなパッケージです。

 

さあ、みんなはどんなネーミングを開発してくれましたか?

それぞれでプレゼンテーションしてみましょう!

 

先生向けのチョコなんで、この世にはないけど、みなさんは先生のこと良く知っているのでユニークなネーミングが開発できたのではないでしょうか?

また、人それぞれ考える視点が異なっていておもしろかったのではないですか?

 

今回、学んだ4つの価値や表現のポイントも照らし合わしてもらうと幸いです。

 

そのネーミングで、目の前の先生のハートにグサッ!と「食べたい!」と思わせられていたら、それが正解ですね!

 

では、また。