テーマ23回答例 「みんなが得する!?早割のメカニズム」
みなさん、こんにちは。
今回のテーマは、どうでしたか?
早速ですが、回答例にいってみましょう。
クリスマスケーキの早割りを行うケーキ屋さんで考えてみてください。
Q1 なぜ、お店は、早割を行うのでしょうか?(思考力)
まずは、自分自身で考えてみてね。
どうでしたか?
一番みなさんが考えたのは、
「他のお店で買って欲しくないから!」かな?
そうですね、あるでしょうね~
「どのくらい作ればよいのか、事前に知りたいから!」
「無駄に作りたくないから、もったいないから」
うん、これも絶対あると思います。材料も作る時間も無駄にしたくないですものね。
ケーキ屋さんの場合は、事前に注文を受け付けて、その数に材料を仕入れたり、作る人を増やしたりと作る時に無駄が出ないようにすることが多いと思います。
少し異なるのが、飛行機や鉄道、バスなどの早割。こういった交通機関は、いずれも、お客さんがたった一人でも運航しないといけないですよね。ひとりでも、満席でもかかる燃料費や、パイロットや運転手さんの給料は同じ。であれば、少し安くしてでもたくさん乗ってもらわないと損になるというのもあります。
あとで説明しますね!
「お客さんへのクリスマスプレゼント!」
一年の感謝をこめて・・・まさにサンタクロースのようなケーキ屋さん!
これもあるかもです。
Q2 早割を行うと、お店は損しないのでしょうか?(情報収集・思考力)
こちらはどうでしたか?
損するorしない。おそらくどちらも正解かと思います。ただできるだけ、損をしないようには考えておられるのが普通です。だって、損していたら、お店がつぶれちゃいますものね。
Q3 損しているとすると、何で損してまで早割をするのでしょう?
逆に、損はしていないとしたら、割り引いた分のお金はどこから得ているのでしょう?(思考力)
「損する、しない」って、どういうことか?をまず考えてみてください。
さあ、ここからが今回のテーマの核心です。
少し絵(棒グラフ)を使って説明しますね。
まず、ケーキの価格ってどうして決めてるのでしょうか?
ケーキの価格をケーキを切るように笑!中身を見てみましょう。
こんな風になります。
ここでは、ケーキの売上にしてますが、売上=ケーキの価格(1個)×売れた個数ですよね。1つのクリスマスケーキをつくるのではないので絵としては売上にしています。
さてケーキの価格の中身は、次のようなものが入っています。
材料費=小麦粉・卵・牛乳・ フルーツ・デコレーションなどの費用
ケーキをつくる費用=人件費・設備費・お店の家賃など
ケーキを売る費用=広告費・販促費・ケース代
ここまでを、「原価=ケーキをつくるのに絶対かかる費用」と言います。
そして、儲け(利益)が入っていますね。
これがケーキの価格の中身です。
では、損をするとはどういうこと?でしょうか?
そう、「原価=ケーキをつくるのに絶対かかる費用」より売上(価格×個数)が低いと、「損をした」と言うことになります。
価格は事前に決めますが、いくつ売れたかは結果なので、価格を決めた段階ではまだ分からない。で、結果売れた個数が思っていた数よりも少ないとこうなっちゃいます。
飛行機や鉄道、バスなどの交通機関はこの状態にならないように早割をしているといえます。だから、キャンセルや変更が出来なかったりしますよね。
あと、思っていた数よりも少ないが、損にはならない個数(売上)というラインがあります。「損得ゼロ」つまり儲け(利益のない)状態です。これを損益分岐売上といって、この個数より少ないと損、この個数より多いと儲かったとなるラインです。
で、これ以上売れると、儲かった(利益が出た)となります。
損をする、しないはこの損益分岐売上を超えるか超えないかで決まるんですね。
ここでは、原価=損益分岐売上となってますが、細かく言うと、例えば場所代や、電気代、あるいは設備費など何もしなくてもかかる固定費というお金と、材料費や販促費など作るケーキの量や、販促の力の入れ方で変わる変動費というお金に分かれます。これはまた今度説明します。
わかったかな?
しかしです!
クエスチョンの「損しているとすると、何で損してまで早割をするのでしょう?」の「損をしているとすると」と言うのは、この損益分岐売上を超えないことではありません。(ごめんなさい!引っ掛け問題みたいになっちゃいました笑)
実は、その上にある儲け(利益)の量が「損しているとすると」ってことなんですね。
例えば「うちの店は開店したばかりだからお客さんがまだお店もケーキの味も知らないし、知ってもらう、食べてもらうための機会にしよう」と考えたケーキ屋さんは、いつもの儲け(利益)より損をされているかもしれません。
また、最近、近所に人気のケーキ屋さんができたので、Q1のようにお客さんを取られたくないと考えるケーキ屋さんも少し利益を減らしても良いからお客様をつなぎ止めようと早割をされる場合もあります。
図で書くとこんな感じですね。
では、損はしていないとしたら、割り引いた分のお金はどこから得ているのでしょう?
ここでいう「損はしていないとしたら・・・」もいつもと同じ程度の利益を確保しているとするという視点で考えます。
ここには、早割のお店のメリットが関係します。それは、「事前に個数がわかること」なんですね。事前に個数が分かると、価格の中身の原価に変化が生まれます。
それが、次の棒グラフです。
事前に個数が分かると・・・・こんなことで原価の費用を抑えることができます。
材料費=いくつ必要か事前に分かるので、材料を大量に購入して少し安くしてもらう
※これは、最近小麦粉など材料が値上げしているので無理かもしれません。
ケーキをつくる費用=まとめて作って効率的に作る(生産性)。一度にたくさん作れば、それにかかる人件費などはおさえることができますよね。
ケーキを売る費用=予約制で、事前にお客様が確保できるので、売るためのチラシなどの広告費用等をおさえることができる。
こう言ったことで、かかる費用を節約して、早割にかかる費用を用意すると儲け(利益)には影響しないということ考えられますね。
また、あまり信じたくはないし、そんなお店があって欲しくはないですがですが、早割にかかる費用を価格に先に載せておくこともしようと思えばできますよね。
こんな図ですが・・・・
おそらくそういったお店は、他の店より高かったり、美味しさと価格の不釣り合いが出て、お客様から信頼されないんでしょうね。
いかがでしたか?
ホントは、授業テーマ7「恵方巻きをもうやめよう!」でも触れたように、売れ残りのケーキが出たりして、利益が減ったりするのですが、今回は価格の構造と、早割のこと少しでも分かってもらえるたら幸いです。
また、社会のビジネスと言うのは、こう言ったお金の計算力が必ず必要となりますので、算数嫌い!よりちょっと好きになってもらえたらと思います。
お金なら何とかしないとですものね。
ではまた!