中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ24回答例「ヒット商品からよのなか変化を逆分析してみよう!」

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みなさん、こんにちは。

 

もう12月ですね。今皆さんは期末試験の時期でしょうか?また受験勉強で大詰めの方もいらっしゃるかと思います。元気が何より!ですので、体調管理しながら頑張ってほしいと思います。

 

さて今回のテーマはいかがでしたか?

ちょっと難しかったかな?笑

 

では、回答例にまいりましょうか

 

 

Q1 ペットボトルコーヒーは、なぜヒットしたのでしょうか?

皆さんなりに分析してみてくださいね(情報収集、整理、分析力)

早速、4Pの視点で「ペットボトルコーヒー」を分析してみましょう

 

1.Product

=これまでの缶コーヒーやコンビニコーヒーと何が違うのかな?

 

これは、商品の特長ですね。

まずは、「ペットボトルに入っている」こと。

さて、ペットボトルに入っていると缶コーヒーやコンビニコーヒーと何が違うかな?

そう!フタがついているので、飲みたい分だけ、少しづつ飲める」よね。

 

「水やお茶のペットボトルと同じじゃん!それにそれは前から缶でもあったじゃん!」

そうですよね~。

では、他に何が違うのかな?

 

そう、「たくさん入っている」こと。

缶コーヒーだと、だいたい180mlからフタつきでも250mlくらいかな。コンビニコーヒーでもLサイズもあるけど、それよりペットボトルコーヒーは大きい。500ml入っていますよね。

 

コーヒーを「ペットボトルに入れて500mlにした」のがペットボトルコーヒーの特長ですね。こういった商品の特長を「商品仕様」といいますが、

 

では、なぜこの「商品仕様」にしたのかここがポイントです。

 

2.Price

=値段はいくらくらい?これまでの缶コーヒーやコンビニコーヒーと比べてどうかな?

 

さて値段を調べてみると・・・コンビニで税込139円。缶コーヒーが安くて100円、コンビニコーヒーも100円。ちょっと高いけど、どうですか?500ml入って139円て考えると、一日に何度もコーヒーを飲む人にとっては割安に感じませんか?

 

 

3.Place

=どこで売れていると思う?

 

これはどうですか?おそらくコンビニでしょうね。

コンビニの中でもコーヒーを飲みたい人がたくさんいそうなオフィス街や、幹線道路沿いなどは特に売れているのではないでしょうか?

 

4.Promotion

=誰に何をどうやって伝えている?

 

これはちょっと調べてみましょうか?どうやって調べるのか・・・企業のホームページが一番早そうですね。一番最初にペットボトルコーヒーを出したサントリーのホームページ(クラフトボスで検索)を見てみると・・・

 

うん!分かりやすい!チカラ入ってますね。

 

ターゲットは・・・・ビジネスマン、特に若い層のようですね。

 

メッセージを見てみると・・・「WORK&PEACE」。

 

細かくよむと、『「職場は戦場。」そう言われたりもする。でも仕事って、そもそも闘いだっけ?誰かと敵対することだっけ?仕事はもっとピースにいきたいなあ。ピースじゃない理由って何かありましたっけ?』

と書いてありますね。

さらに、『働き方、どう変えたら、しあわせなんだろう』って書いてますね。

 

今、みなさんのお父さんもそうなんですが、世の中の会社では、働き方改革というのが重要なテーマになっています。ここ数年、働きすぎで亡くなられるいわゆる「過労死」等が問題になったり、日本は世界と比べてホワイトカラー(スーツ着て働く人のこと)の生産性が低いとか、あるいは人口が減少問題を背景に、今の業績を維持しながら、仕事の仕方を効率的にしないとと言われています。とはいえ、働く一人ひとりはどうすればいいのか分からないという現状を捉えたメッセージになってるんですね。

 

実際クラフトボスを飲めば、そうなるかと言えばなりませんが(笑)、ターゲットであるビジネスマンにはこの商品に共感を抱くようなコミュニケーションが考えられてありますね。

なので誰に何をどうやって伝えている?のかというと・・・

 

ビジネスマン(特に若いビジネスマン)に、クラフトボスなら、ペットボトル&500mlだから「ゆっくり飲み続けられる」ことを、ターゲットがよく見るWEB(ホームページや、動画)で伝えているということになります。

 

Q2 4P分析したものから、ヒットにつながった要因を考えてみてください。

ヒントはこの商品を買っている人の、最近の変化と、変化から生まれた飲み方の変化(=ニーズ)です。「~だから、この商品がヒットする」となります。

これを友達に説明するように簡潔に教えてくださいね。

(思考力・表現力)

 

商品特徴は、飲みたい分だけ、少しづつ飲める」大容量。

価格は、139円で割安。

 

ビジネスマンはなぜ買うのか?

最近変化したこととは?

 

実は、今ホワイトカラーの人の仕事は、ITによってほぼデスクワーク(机に座ってパソコンで行う仕事)が中心に変化してます。以前は、取引先に行くとか、会議でやり取りするなどの時間が今に比べて多かったんですが、今はメールやTV会議などを駆使しています。そうすると、デスクワークをしているビジネスマンは「デスクワークをしながら、コーヒーを少しづつ飲む」というシーンが増えることになります。その時、今ある缶コーヒーやコンビニコーヒーでは、量が少なく、飲みたい時に少しづつ飲むというより、いちいち仕事の手を止めてコンビニに買いに行って、すぐ飲まないと・・・としかできない。

 

「大容量で、飲みたい時に少しづつ飲めるコーヒーないかなあ」というニーズが生まれます、

 

そのニーズを上手くつかんで、商品の仕様を変えて、価格を絶妙な設定をして、コンビニという最も買いやすいお店において、さらにターゲットの共感を得るコミュニケーションを仕掛けたのが「ペットボトルコーヒー」で、そのことでヒットにつながったということです。

 

わかりましたか?

 

回答例としては、

「ペットボトルコーヒーのヒットした理由は、パソコンで仕事をすることが多くなったビジネスマンが、仕事をしながら少しづつ飲める大容量のコーヒーが欲しかったからヒットしたんだよ」ってなりますね。

 

実際に商品を開発するというのは、ここで分析してみた逆の流れで行います。

 

「ビジネスマンは、デスクワークが中心」に変化(世の中の変化)

「仕事のペースやリズムを維持しながら、コーヒーを少しずつ飲みたい」というニーズがあるはず(ニーズの変化)

「今ある缶コーヒーやコンビニコーヒーは、量が少なく飲みたい時に少しずつ飲むというより、いちいち買いに行って、すぐ飲む」ことしかできない。(現状の商品課題)

「大容量で、飲みたい時にすぐ飲めるペットボトルのコーヒーは売れるかも」

(解決できる商品アイデア

 

という具合ですね。

 

もっと言うと、サントリーは、一番最初に商品化したので、競争相手はなし。つまり、極端なことを言えば、他社が同じような商品を出してくるまで、ペットボトルとその大きさだけを変えれば買ってもらえることができたと思います。(実際はたくさん飲むのでコーヒーはすっきり感のある味にされているようです。)

 

ちなみに、サントリーが最初にこの商品を出した時の市場の状態を、ブルーオーシャンっていいます。買ってもらえるお客さんを魚に例えて、他に誰もいない海の上で釣りをするから魚が取り放題!という意味なんです笑。

逆に、他にもたくさん釣りをする会社がいて魚の取り合いになることをレッドオーシャンと言います。どちらが釣りが簡単か分かりますよね~。

 

こう言った「ブルーオーシャン」を見つけるには、世の中の変化や、お客さんの変化をどれだけ細かく発見できるかが大切です。大きな大海原(=今回ならコーヒー市場)のどこに魚がいて、誰もいないポイントを見つけられるか・・・そんなことを商品を生み出すメーカーさんは考えているんですね。

 

どうですか?

商品開発って面白そうでしょう?みなさんも商品開発の仕事してみませんか?

 

Q3 Q2で、ペットボトルコーヒーから新しいニーズと変化を見つけられました。

そこで皆さんなら、この変化からどんな新しい商品が生み出せそうですか?

(思考力)

 

で次は、みなさんの出番です。

どうですか?

「ビジネスマンは、デスクワークが中心」に変化(世の中の変化)しているとすると、

例えば、今ある商品の使い方やニーズは何か変化していないですか?

 

仕事の場所や仕事中のことが、まだよくわからない・・・・かもですね。

 

例えば、

デスクワークが中心→外出が少ない→服装はどう変化している?とか

デスクワークが中心→座り続けることが多い・パソコン作業が多い→カラダは何か変化してない?

 

あるいは、

みなさんコンビニのコーヒー商品開発者なら、ペットボトルコーヒーにどうやって対抗する?

デスクワークが中心→「仕事のペースやリズムを維持しながら、コーヒーを少しずつ飲みたい」→ペットボトルコーヒーが飲まれる→何か不満はない?

 

とかがヒントになるかもしれませんね笑

 

今回は、ヒントまでとしておいて・・・

また皆さんのアイデア教えてくださいね。

 

では、また。

 

2020年6月18日 このテーマの教材シート作成しました。(パワーポイント)

 

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ご必要であれば、以下よりご連絡ください。

 

masashiki2018.hatenablog.com