中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ31回答例「ランドセル マーケットについて、レポートしてみよう。」

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みなさん、こんにちは。少しご無沙汰となりました。

この間に、元号は令和へ。みんなもう元号には慣れたかな。

今回は「ランドセルマーケットのレポートをしてみよう」でしたが、みなさんレポートできたかな。

早速、テーマの回答例にいってみましょう。

 

Q1. まずは、ランドセルの市場規模を推計してみてください。(情報収集力)

 

これは、できたでしょう!

前回のヒントで、

市場(しじょう)規模=商品の値段×買う人の数

 

で計算できるとし、ランドセルの値段は、6万円としましたので、あとは買う人の数、つまり小学校1年生は全国で何人くらいいるかがわかればよいですね。

 

調べる先は、統計局のホームページ。

www.stat.go.jp

各歳別の人口を見てみると、平成30年10月1日のデータでは、この時点で5歳(つまり、令和元年に6歳になる子どもたち)の人口は、101.2万人となっています。

 

なので、

市場規模=6万円×101.2万人となって、

答えは、607.2億円となります。

 

どうですか?毎年600億円の規模でランドセルが売れるんですね。

 

もう少しみてみると、平成30年10月1日のデータでは、5歳以下の子どもたちが減っていたでしょ。これから、子どもの数が減少するのでこの市場規模は小さくなる可能性がありますよね。

 

でもね・・・いま6万円のランドセルが8万円になったら、どうなりますか?

 

そうなんです!子どもの数の減少以上にランドセルの値段が上がると、市場規模は大きくなるんですね。

 

 

Q2.なぜ、4月から「ランドセル」のCMは始まるのでしょうか?今年は特に多いのはなぜでしょう?(思考力)

 

これは、わかった?

 

そうですね~。みなさんもおわかりの通り、このCMは「おじいさん、おばあさん」に向けられて放映されていると思われます。

 

なぜかというと、お孫さんの入学祝いにランドセルをプレゼントするのが「おじいさん、おばあさん」だから、ですよね。

 

みんなは、「6<シックス>ポケット」って、聞いたことはありますか?

 

「6ポケット」っていうのは、子どもに対してお金を使う財布の数のことです。

なぜ6つかというと・・・

まずは、お父さん、お母さんの財布。最近は、働いているお母さんも多いので、2つある場合が多い。

次にお父さんのご両親(子どもから見れば「おじいさん、おばあさん」)の財布が2つ。そして、お母さんのご両親の財布が2つ。

これを合わせて6つの財布があることを「6ポケット」って言います。

 

最近の長寿化で、「おじいさん、おばあさん」も元気な方が多いですから、全部で6つある場合は多いですよね。で、子どもたちの方はというと、少子化が進んでるので、兄弟がそんなに多くない場合が多い。

 

となると、子どもたち一人に対して使うお金がどんどん増える可能性がありますよね。

 

そして、今年は、ゴールデンウィークが10連休でしたよね。みなさんの中でも、おじいさんやおばあさんの家に行った人も多かったのではないですか?

 

ここが、今年のポイントで、いわゆる帰省のシーズンに家族が集まるでしょ。集まったときに出る話が子どものお話。

 

「○○ちゃんは、来年小学生だね~」

「お祝いにランドセル買ってあげようね。」

とおじいさん、おばあさんが話をしますよね。

 

そこにTVCFが流れる。

 

そして、今まさに予約中となれば・・・・。

「せっかくだから、一緒に今から見に行く?」

 

となりやすい。でしょ。

 

だから、なんですね。

 

以前は、こういった会話は、お正月か夏のお盆の帰省時期でしたが、今年は10連休になったので、帰省される家族も増えるだろうとの予測から、春の時期からランドセル販売に力を入れようとなったわけですね。

 

もっと突っ込んで、作り手や売り手の側の作戦をいっちゃうと、「ランドセル」は、予約販売の商品。メーカーにとっては、先に予約で数が分かれば売れ残りが防げるし、お客さんの方には、数量限定にすれば、欲しい色や、商品特長のあるランドセルがある間に予約してもらえる・・・・。競争相手より早くやらないと・・・!と考えているはず?笑です。

 

ここまで、聞くと、「うーん、やるな!」って感じですか?こういった作戦(販売戦略といいます。)を考えることもマーケティングで行います。

 

Q3.さて、このランドセルマーケット、高額化することで問題視されていることも出てきているようです。それはどんなことかを教えてください。(情報収集力、思考力)

 

ランドセルの値段は6万円。昔より確実に高くなっています。そのことで問題視されているのが、「子どもの貧困率」という問題。OECD(経済開発協力機構)が定めた基準に基づき、厚生労働省貧困率というものを「国民生活基礎調査」で定期的に調べています。(詳細は調べてみてくださいね。)

www.mhlw.go.jp

 

平成28年の「国民生活基礎調査」では、「子どもの貧困率」(17歳以下)は13.9%。つまり、7人に一人の子どものいる家庭が貧困状況にあるといわれているのです。

 

(このことを扱うには、色々配慮しないといけないのかも知れませんが、事実として知っておくべきことと思います。それぞれ事情があってそうなっている状況は、決して「好きでそうなっているわけでない」し、そのことで子どもたちやその親御さんが悪く扱われるものとなってはいけないと考えます。)

 

その状況の中、小学生の必需品ともいえるランドセルが、高価になっていくことが大きな負担になっている家庭もあることや、また子どもたちの中でまちがった優劣が生まれることなどが問題視されているようです。

 

Q4.Q1~3で集めた情報を元にまとめて、私にランドセルマーケットとは、どういう市場なのか、レポートで報告してください。(要約力)

 

Q1~3で調べたことを、まとめて文章にして欲しいです。字数はそうだなあ、400字~800字にしましょう。(私も、やってみますね。)

 

さあ、ここまで調べたことをまとめてみましょうか?

ランドセルマーケットとはどういう市場なのか。

 

私もやってみました笑。

 

ランドセルマーケットの市場規模は約600億円と予測されます。近年の少子化により、対象となる子どもの数は、年々減少傾向にあるものの、小学校の授業や教科書の変化、小学生の通学時のカバンの重さによる身体の負担問題などに対応して、大型化、軽量化したランドセルの登場や、ランドセル自体のカラーバリエーションの拡大により、ランドセルの価格が上昇傾向にあると言える市場といえます。ランドセルは、子どもの祖父や祖母がプレゼントとして購入されると考えられる中、2019年のゴールデンウィークが10連休と長期化したことによる帰省機会の増加予想や、ランドセルの予約販売の定着もあって、良い商品をいち早く手に入れようとするターゲットの動きを予想し、各ランドセルメーカーや小売店は、例年以上に早い販売合戦を展開している模様です。反面、高額化するランドセルの販売に対し、厚生労働省平成28年生活基礎調査で指摘している子どもの貧困率(7人に一人が貧困状況にある)の問題から、家庭における負担などを問題視されている市場でもあります。

 

(439文字)

 って、感じでしょうか?笑

 

やってみてどうだった?

何をレポートすればよいのかよくわからなかった?かな。

 

大丈夫!

まずは、字数制限の中で分かりやすくまとめてあればOKです。

せっかくだから、クラスの中で各自発表してみて、みんなのレポートがどんなことを取り上げて、どんな伝え方だったのかもお互い良い勉強になります。

 

また、こういった機会をたくさん経験することが、チカラをつける一番の方法。

例えば、毎日の新聞記事を、要約してレポートにするとかもいいかもです。

あるいは、学級活動やホームルーム活動の最後に、今日のテーマをまとめるとかでもいいかもですね。

 

私は、以前「桃太郎」や「鶴の恩返し」といったみんなも良く知っている昔話を、150文字でまとめるとか、50文字でまとめるとかやったことがあります。やってみると、人によって伝える部分が少しづつ違うので、面白かったですよ。

 

皆さんも是非やってみてください!

 

参考までに、今回のマーケットレポートでおさえるポイントでいうと、以下のようなことが伝えられているかどうかということになります。

 

・市場の大きさや、その成長(伸びている?小さくなってる?)をまずおさえる。

・市場を作る商品の最近の傾向や、企業の動きをおさえる。

・市場のターゲットとなる消費者の状況やニーズをおさえる。

・また、市場としてのチャンスや、問題点をおさえる。

 

本当は、具体的な事例等があると分かりやすいですね。

 

レポートすることは、よのなかで頻繁に求められるものです。

そこに必要なチカラは、語彙力(様々な言葉や単語を知っている)、要約力(まとめる)、表現力(伝える)って言われています。

そして、これから入試の設問などにも出てきます。

 

できる、できないはトレーニング次第。誰でもできるようになるので、トライしてみてくださいね。

 

では、また。