中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

授業テーマ32「みんなの生活時間をリサーチしてみよう!」

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みなさん、こんにちは。

あっという間に6月ですね。

 

さて、今回は、みなさんに「リサーチャー」になってもらいたいと思います。

 

「リサーチャー」とは、簡単に言うと、調査を行い、集計し、分析する仕事をする人です。マーケティングでは、何をするにしてもまずは「現状がどうなっているのか」をきちんとつかむ必要があります。マーケティングを「調査」の事って思っている人がいるくらいですから大切なことではあるのですが、調査はあくまでマーケティングの一部ですのでお間違いなく。

 

ひとことで、調査といってもその方法はたくさんあります。

いくつかあげてみると、

 

  • インターネット・アンケート調査=インターネットを利用して、モニターとかパネルと呼ばれる調査に協力したい人が集まる会社を使って、アンケートを取る方法。

 

  • グループインタビュー調査=5名くらいの方に一度に集まってもらって、聞きたいテーマについて、「モデレーター」と呼ばれる人がグループ内の会話をコントロールしながらヒアリングをしていく方法。1対1で深くインタビューする「デプスインタビュー調査」というのもあります。

 

  • セントラルロケーションテスト=たくさんの方に1つの会場に集まってもらって、調査をする方法。たとえば飲み物を飲んでもらって、味が好きかどうかなどを調査する時などに用いられます。

 

  • ショップアロング調査=お買い物をしているお客さんの後ろから追跡し、どこを通ったか、何を手に取ったかなど行動を記録していく調査。

 

  • ミステリーショッパー調査=調査する人がお客さんのふりをしてお店に行って、その時の店員さんの接客方法や、印象などをチェックしていく調査。飲食業や、サービス業でよく行われています。

 

  • ホームビジット調査=調査したい人の家に訪問して、家の中の状態を見させてもらいながら質問をしていく調査。たとえば、冷蔵庫の中を見せてもらって、どんなものが入っているかとか、どのように入れてあるかなどを調べるとか、他の調査ではつかめないリアルな実態が見えてきたりします。

 

などなど。いろいろあるでしょ。

 

「リサーチャー」とは、それぞれの調査手法の特長を理解した上で、目的に合わせて調査の方法を選んで、何を調べるのか、どのように質問するのかなどを決める「調査設計」や、調査の実施に立ち会ったり、その後、調査の内容をまとめて(「集計」)、そこからどんなことが分かったのかを考える(「分析」)を行ったりする職種です。

 

やってみたい?(笑)

 

ということで、やってみましょうか?

 

このテーマでは、みなさんが調査を設計する時に、思考力論理力仮説力質問力といったチカラがトレーニングできます。また、調査で集まった答えを集計する力(これはパソコンの操作力かな)と集計したデータを分析する力、そしてみんなに調査の結果を伝える際に要約力や、表現力なんかもトレーニングできると思います。

 

では、何をリサーチしてもらうかというと・・・・・

 

そうですね・・・・

 

そうだ、6月なので「時間」をテーマにしましょう!

なぜかって?6月10日が「時の記念日」だからです。

知ってるかな?

 

ja.wikipedia.org

 

日本書紀天智天皇十年四月辛卯条(天智天皇10年4月25日グレゴリオ暦671年6月10日))に、(中略)日本初の時計を打った日が6月10日であることからこの日となった。なお、「漏尅」すなわち「漏刻」とは水時計のことである。

 

らしいんです~。ずいぶん大昔ですね。

真実かどうかはともかく、このことから「時の記念日」となったようです。

 

新学期から2ヶ月経って、みなさんも学校生活に慣れてきた頃だと思います。そこで、みなさんが毎日どのように時間を使っているのかを調査して欲しいのです。

こういった内容の調査を「生活時間調査」って言います。

 

朝起きてから寝るまでの間の時間をどのように使っているか・・・

もちろん学校にいる間はみなさんわかりますが、それ以外の時間は何してる?あるいは何にどのくらいの時間を使っている?これを調べるのが生活時間調査です。

 

ここからオリエンテーションです。

 

「6月10日は「時の記念日」です。みなさんは毎日どう時間を使っていますか?『時は金なり』って言われるほど、時間って大切ですよね。そこで、みなさんの生活時間を調べて、その特長を分析して報告してください。目的は、まずは実態を明らかにすること。報告して欲しいことを条件として出しますね。

 

報告して欲しいこと

1.学校の学年ごとで生活時間に変化はあるでしょうか?

2.スマホを見ている時間ってどのくらいあるでしょうか?スマホで何をしているのでしょうか?

3.みなさんが一番大切にしている時間はどんな時間でしょうか?

 

今回調べて欲しい生活時間は、平日とします。」

 

どうでしょうか?できそうですか?

 

それではスタート!っていうと、無茶ぶり?笑。

進め方をクエスチョンとしてつけておきますね。

 

 

Q1.まずは、調査を設計しましょう。

知りたいことが3つ提示されていますので、その3つを明らかにするためにどうするかを考えます。

 

実はこの調査の設計が一番大事なんですよ。

 

ついつい先に聞いてしまいたいところですが、設計をきちんとしていないと、調査してから「あっ、あれ聞くの忘れた」とか出てきた内容を見て、「あれ、何が聞きたかったんだっけ?」てなります。

 

1.調査する対象は誰にしますか?

 

2.どういう方法で調査しますか?

今回は、基本的にはアンケートを作って対象者へ配布する方法でお願いしたいのですが、配布はどうやって行う?どうやって回収する?

 

3.どんなアンケートにしますか?

まずは、質問する項目を考えてください。ここは、仮説力が必要ですね。

例えば「男女で違うかもしれない」とか?「スマホで見るものってどこまであんの?」

とか、仮説を立てないと項目も上手く出せないかもしれません。

 

Q2.次にアンケートの質問表をつくりましょう。

何をどのように聞けばよいか、質問方法を考えてください。

 

まずは、ここまで(設計~質問表の作成)やってみましょうか。

 

あとがき)

 

ホントは、実際に作ったアンケートを実施して、まとめて報告するところまで行うと面白いと思います。総合的な学習の時間などで時間が使えそうであれば、是非やってみてください。

 

授業のステップとしては

1.オリエンテーション

2.調査の設計

3.質問表の作成

4.アンケートの配布

5.アンケートの回収

6.パソコンなどを使って、アンケートを集計する

7.集計したものを分析する

8.発表用の資料を作る

9.発表会を行う

 

という流れになります。

授業では1から3は全員で、4からはグループ分けをして役割分担という感じでしょうか?あるいは、調査して欲しい項目ごとに最初からグループに分けるのも良いかと思います。(質問表は最後に一つにまとめて、配布・回収。そして、集計・分析・発表はまたグループごとに行う)

 

今回調査のテーマは、生活時間にしましたが、

 

できるだけ生徒に身近なテーマを設定する方が良いかと思います。

「ウチの学校の魅力って何?」とか「学校周辺のおすすめスポットを探そう」とか「ブラタモリ」的に(笑)、「なぜ、私たちの地域には○○が多いのか?」見たいなものでも良いかと思います。

 

これからの時代は、こういったこともAIが行えるという見方もあります。特に調査で集めたいデータが勝手に集まる、また自動的に集計されるみたいなことはどんどん進みそうですが、それぞれの社会や人によって知りたいことも違います。何をどのデータをどう分析するかについては、結局人の力が必要です。そこで必要となるチカラはよのなかで必要とされるチカラと大きく結びついていると思います。

 

では、また。