中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ32回答例「みんなの生活時間をリサーチしてみよう!」

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みなさん、こんにちは。

では、早速ですが、前回の回答例に参りましょう。

まずはオリエンテーションは、こんな内容でしたね。

 

6月10日は「時の記念日」です。みなさんは毎日どう時間を使っていますか?『時は金なり』って言われるほど、時間って大切ですよね。そこで、みなさんの生活時間を調べて、その特長を分析して報告してください。目的は、まずは実態を明らかにすること。報告して欲しいことを条件として出しますね。

(報告して欲しいこと)

1.学校の学年ごとで生活時間に変化はあるでしょうか?

2.スマホを見ている時間ってどのくらいあるでしょうか?スマホで何をしているのでしょうか?

3.みなさんが一番大切にしている時間はどんな時間でしょうか?

今回調べて欲しい生活時間は、平日とします。

 

Q1.まずは、調査を設計しましょう。

 

前回、お話ししたように、この調査設計がとても大切です。まずはおさえるべきところをきちんと押さえていきましょう。

まずは、報告して欲しいことから、どんな調査にしないといけないか内容をみんなで考えてみましょう。

 

学校の学年ごとで生活時間に変化はあるでしょうか?

 

ここから何を想定しますか?まずは、「学年ごとに調査しないといけない」ようですね。それから、「変化があるかないか」ということから、学年ごとの結果を比較することのようです。では、比較する際、学年だけで良いでしょうか?例えば「男女で違うかもしれない?」とか、「部活によっても異なるかも?」ですね。となると、それが分類できるようにしておく必要がありそうです。

 

それから、変化を見たい時間をあらかじめ想定して聞いたほうがわかりやすそうですね。どんな時間があるのか話し合って決めましょうか。

 

たとえば、「起床時間」「朝食の時間」「通学時間」「部活動時間」「学習塾・習い事の時間」「友人との遊び時間」「家の用事を手伝う時間」「夕食時間」「学校の授業の復習や、宿題をする時間」「受験勉強の時間」「テレビを見る時間」「読書をする時間」「お風呂に入る時間」「寝る時間」などかな。

 

って考えたときに、「あれ?時間って2つあるな」って思った人・・・さすがです!

 

そうですね。「どのくらいの時刻にしているの?」ということと、「どのくらいの時間しているの?」という時間帯と所要時間に変化ありそうですよね。

 

それがわかるように聞く必要があることもわかりましたね。

 

スマホを見ている時間ってどのくらいあるでしょうか?スマホで何をしているのでしょうか?

 

これについては、どうですか?使っているみんなが本当に自分で分かっているかどうか微妙かもですね。みなさん自身も、ちょこちょこ見てるから時間なんか分からないでしょ。ということは、大まかにしか聞けないかもしれません。(iPhoneには最近はどのくらい何をしていたかがわかるようになりましたね。)

 

さらに、スマホで何をしているかも、個別のアプリを聞くというより、アプリの種類を分類して調査した方が良いかもしれません。

 

みなさんが一番大切にしている時間はどんな時間でしょうか?

 

大切にしている時間?ってどういうことでしょう?人によっても違うでしょうし、どういう聞き方するかがポイントのようですね。少し「大切にしている」ということを具体的にする必要がありそうです。「大切にしている」を少し分けてみましょうか?

 

今回調べて欲しい生活時間は、平日とします。

これは、調査したい曜日の条件ですので、きちん伝える必要がありますが、例えば「部活のある日、無い日」「塾や習い事などがある日、無い日」などありますよね。

では、どうするか・・・・。また、出来るだけ正確に調査するにはどうするか

 

だんだんややこしくなってきましたー。笑

 

今回は、曜日ごとの実際の生活時間(時間帯と所要時間)を記録してもらう方がよさそうですね。

 

こういったことを決めていくのが、「調査設計」です。

 

では、ヒントクエスチョンに答えていきましょう。

 

1.調査する対象は誰にしますか?

 

調査する対象者は1年生~3年生の生徒ですね。ただし、学年ごとの変化がより分かるように「性別」と「部活動」について質問で聞くようにしておきます。

ということになりますね。

 

ホントは、どのくらいの生徒に調査すればよいかを決めないといけません。基本的には全員聞くのが正しいのですが、例えばマンモス校と呼ばれる、生徒数が多いところなどでは、大変かもしれません。そういった場合には、数を決めておく必要があります。今回の場合で言うと、学年ごとや男女別であまり偏りがあると比較した際に違いが正しいかどうか疑わしくなるので、学年ごと、男女別で均等に聞いた方が良いと思います。表にするとこんな感じです。

 

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これを、割付(わりつけ)と言います。上の表で分かるように、全部で300人に聞くのですが、学年ごと、男女別で均等の人数にすることで、比較しやすいようにします。世の中で行う実際の調査では、こういった割付方法以外に、たとえば実際の日本の年齢構成に合わせてとか、各都道府県の人口構成に合わせて、割付を行ったりします。

 

でも、「みんなが書いてくれるか分からない」し、回収したらこうはならないのでは?と思った人はいるかな?素晴らしいです!その可能性もありますね。なので、どのくらいの人が書いてくれるかを想定して、設定した数になるよう余分に配布する必要もあります。

 

上記の表で言うと、たとえば、回収できる割合を80%としたら、300÷0.8=375は配布するひつようがあります。

 

2.どういう方法で調査しますか?

 

今回は、基本的にはアンケートを作って対象者へ配布する方法と決められていますので、配布方法と回収方法の検討です。

 

配布方法どうしますか?朝、校門に立って配布する?あるいは、各学級担当の先生へ依頼し配布してもらう?いろいろあるかと思いますが、これも設計のひとつ。校門に立つのだったら誰がするの?先生に協力してもらうなら、誰が説明に行く?を決めないとですよね。

 

回収方法も、みんなが通る廊下に回収箱を置く?あるいは、先生に回収してもらう?回収箱なら、誰が回収する?といったことを決めてください。

 

あと、大事なのが回収の期限を決めること。でないと、いつまでたっても終わらないよ。期限は短すぎても、長すぎてもダメですよね。今回は、平日の実際の時間を記録してもらうことにしましたから、7日間は必要ですね。

また、期限が近付いてきたら、案内する方が良いかもしれません。(これも、誰が、どうやって?)

 

アンケート用紙を配布・回収するだけでも、これだけの段取りをきちんと決めておく必要があります。

 

3.どんなアンケートにしますか?

 

先ほど話し合ったあった内容から、調査の項目をまとめてみると・・・・

 

1)学年(1年生・2年生・3年生)

2)性別(男子・女子)

3)部活動(入っている人は、どの部か聞く)

4)平日の生活時間について(聞きたい行動の時間帯と所要時間を曜日ごとに聞く必要がある)

5)1日どのくらいスマホを使用しているか(大まかな時間を聞く)

6)スマホで何をしているか(電話<ライン電話など含む>をする・メール・動画<学習含む>を見る・SNSTwitterやLINE、インスタグラムなど)・ゲームをする・マンガを読む・情報を調べる・ニュースを見る・目ざましに使う・・・など分類する)

7)大切にしている時間(「ほっとする時間」「楽しみにしている時間」「無いとしんどくなる時間」くらいに分けて聞く)

 

という感じでしょうか?

 

そして、

アンケートの配布方法(先生に協力いただき、ホームルームで配布してもらう)※各先生には、○○さんから調査の説明をしてもらって、協力いただく。

アンケートの回収方法(先生に協力いただき、ホームルームで配布してもらう)

回収期限は、○月○日。

となりますね。

 

あと・・・実はこれだけでは無いんです。これまでの事で調査を実施するところまでは決めましたが、その後の作業を明確にするために、本当は、回収した回答結果をどのように分析するかもあらかじめ想定しておきます。例えば、まず学年別に全体を見る(単純集計といいます。)そして次に男女別に見る、さらに部活動ごとにみるなど、設問回答を組み合わせて見る(クロス集計と言います)ということも事前に想定しておきます。

そして、最後にスケジュールを明確にします。

 

アンケート(質問票)はいつまでに作るか、いつ先生に協力を要請するか、先生へ配布してほしいアンケートはいつ渡すか、いつ配布してもらうか、回収はいつまでに行うか、回収した回答表はいつまでに集計するか、集計したものをいつまでに分析するか、調査の報告書はいつまでにつくるか

など、ここまでを行うことを「調査設計」と言います。

 

Q2.次にアンケートの質問表をつくりましょう。

 

さあ、いよいよ。質問票づくりです。

先ほどまとめたアンケート項目から作成していきます。

 

1)学年(1年生・2年生・3年生)

2)性別(男子・女子)

3)部活動(入っている人は、どの部か聞く)

4)平日の生活時間について(聞きたい行動の時間帯と所要時間を曜日ごとに聞く必要がある)

5)1日どのくらいスマホを使用しているか(大まかな時間を聞く)

6)スマホで何をしているか(電話<ライン電話など含む>をする・メール・動画<学習含む>を見る・SNSTwitterやLINE、インスタグラムなど)・ゲームをする・マンガを読む・情報を調べる・ニュースを見る・目ざましに使う・・・など分類する)

7)大切にしている時間(「ほっとする時間」「楽しみにしている時間」「無いとしんどくなる時間」くらいに分けて聞く)

 

以下は、質問表の出来上がり例です。

 

 

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どうですか?あくまで、作成例ですが・・・

 

各質問をできるだけきちんと答えてもらうために、「記入例」をつけたり、時間の場合は、書き方が様々になる可能性があるので、「24時間制で」「分単位で」書いてもらうルールを決めたり、注意事項を太字にしたりしています。こういったことが質問表の作成ではポイントかもしれません。なので、一度質問表を作ってみたら、誰かに試しに答えてもらって、書きにくかったことなどを聞いておくのもよいかと思います。

 

みなさん、どうでしたか? 

 

やってみて気付いたことなど、振り返ってみてくださいね。

 

では、また。