中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ14回答例「デジカメがなくなる?」

f:id:masashiki2018:20180107154139j:plain

 

みなさん、こんにちは。

早速、回答例に行きます。

 

Q1.なぜ、カシオはデジタルカメラの事業から撤退するのでしょうか?当然儲からないからなんですけど、その理由を以下の考え方を使ってもうすこし詳しく説明してください。(情報収集力・思考力)

 

どうでしたか?プロダクトライフサイクル(PLS)のこと少しは分かりましたか?

デジタルカメラは、PLSでいうとおそらく「衰退期」の段階にあるといえます。また、その要因には、そう!みなさんも気がついているあの製品の登場が、大きく影響しています。それは、スマートフォン!ですよね。デジタルカメラスマホの出荷台数や金額をインターネットで情報収集して、PLSの上に重ねてみるとこうなります。

 

f:id:masashiki2018:20180602113053p:plain

 

少し説明すると、デジタルカメラは1975年にイーストマン・コダックが発明しました。(コダックっていうブランド知ってるかな?)そのあと、ソニーが今とは少し異なるデジタルカメラを作ったりしているのですが、ほぼ今のデジカメと同じもので普及用に発売したのがカシオです。ここが導入期ですね。直後にリコーやキャノン、ニコンなども売り出し始めます。

 

そして、2000年前後に高画素数やよりコンパクトな製品がたくさん売りだされました。競争相手が増える段階です。そしてこの年カメラ付携帯電話(みなさんには「ガラケー」と言った方が分かりやすいのかな。)が現れますがまだ、この段階ではデジカメの方が優れているので、販売数はうなぎのぼりに増えていきます。これが成長期ですね。(この背景に、昔のフィルムカメラはどんどん販売数が減少していたと思います。)

 

そして、2008年にデジタルカメラの出荷金額は2.16兆円となって今から考えると、この年がピークとなります。この段階が成熟期で、競争がますます激しくなっていました。まだまだ伸びるかと当時は考えていたと思いますが、実はデジカメの出荷金額がピークとなる前年にあのiPhoneが発売されているのです。おそらくこのタイミングで、デジカメにとって脅威となるとは考えられなかったのではないかと思います。

 

ここからスマホがどんどん台数を伸ばしていきます。2010年日本国内で出荷された台数は675万台、そこからなんと5年で出荷台数は2,410万台です。すごい増加ですよね。なぜだかわかる?そう、スマホは「一人一台」だから。カメラよりも持つ人は増えるからですよね。それに合わせるかのようにデジカメの出荷金額は減少していきます。2015年には8,854億円、ピークの40%にまで低くなりました。こうなるとまさに衰退期という段階になっているといえますね。

 

デジカメという同じ製品同士ではなく、スマホという違うカテゴリーの製品がデジカメを衰退させているということが言えると思います。

どうですか?何となくわかっていたことが、より納得できたと思います。

 

Q2.デジタルカメラはなくなる?でしょうか?他のカメラメーカーはどのような状況でしょうか?(情報収集力・思考力)

 

こちらはみなさんどう考えましたか?いずれはなくなる?いやなくならない?もちろん未来のことですから分からないですが、おそらく、私はまだまだ無くならないと思います。理由は、他のカメラメーカーがまだまだ頑張っているからですね。カシオは、今後このデジカメ市場に対して、収益が見込めないという判断をし、撤退を決めましたが、例えばキャノンやニコンなどは、超高画質のデジカメ(一眼レフ)を中心に世界のプロカメラマンや、カメラが趣味の方をターゲットに開発し続けています。(この回答を書いていたら、キャノンがフィルムカメラ一眼レフの販売を終了するニュースが飛び込んできました!)

 

ソニーパナソニックなども一般の方を含め、スマホでは撮れない画像が撮れるデジカメを作り続け、ビデオカメラ等関連する製品にもその技術を広げています。またオリンパスというメーカーは、デジタルカメラの技術を医療の分野に持ち込み、胃カメラなどの開発を行っています。

 

こういった動きは市場の細分化とか技術リソースの多角化とか言われるものですね。

 

一つ言えることは、デジカメという市場(マーケット)は大きく変わっていっているということです。これまでのデジカメのPLS一つでは見ることができなくなっているともいえます。

これからこう言った変化は他の製品でもたくさん出てきます。たとえば、自動車や腕時計、TVなんかも中身がどんどん変わってるでしょ。ITとかIOTとか言われる技術がこれまでの製品の概念を変える役割を果たしています。

 

みなさんが、社会に出るころには今とは違う世界が広がっている可能性は高い。

そんな時代を引っ張っているみなさんの姿を楽しみにしています。

 

では、今日はここまで。