中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ33回答例「(洞察力・要約力)なぜ、メーカーが施設やショップをつくるのかな?」

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 みなさん、こんにちは。

 

今回のテーマはいかがでしたか?

早速、回答例を一緒に考えてみましょう。

 

Q1.まずは、「ファン」って何かをみなさんで話し合って考えてみてください(思考力)

 

こちらはどうでしたか?

「ファン」ってどのようなことを言うのかわかりました?

アイドルやアーティスト、スポーツ選手などにも「ファン」って使うからなんとなくわかりますよね。単純に言えば「好き!」ってことですが、もう少し深~く考えてみましょうか。

 

例えば、今回の食品メーカーの場合でいうと、まずは「美味しいから好き」。

はい、当然それだけでも「ファン」なんでしょうけど、他にも同じような商品で同じように美味しいものはあるよね。なぜ、そのメーカーのその商品の「ファン」なのでしょう。そこには、美味しい以外の何かがあるように思いませんか?

 

例えば、その商品を買うことや、持っていること、使うことが「好き!」など美味しい以外にも何か魅力を持っていないといけないのかもしれません。あるいは、そのメーカーのものづくりの姿勢が好き、あるいは美味しさとは別の商品のデザインや食べやすさあるいは、商品を通じたメッセージなんかも「好き」って言ってもらえることなのかもしれませんね。そういう意味では、私は「ファン」って「他にはないオンリーワンの魅力に共感している」状態ではないかと思っています。皆さんはどう考えましたか?

 

で、「ファン」になってもらうと、どのようなことがあるのか

 

そう、ずっと買い続けたいと思いますよね。また、そのメーカーや商品のことが気になって、関心を持っていろんなことが知りたいですよね。アイドルの言動が気になって、ツイッターで情報収集をするあれです笑。また、他の人にも伝えたいって思ってもらえる。

 

メーカーはそんなお客さんをたくさん作りたいと考えているのです。

  

Q2.いま、メーカーが置かれている問題をみなさんで考えてみてください。(思考力)

 

ヒントとして、みんなに考えてもらった2つの視点から考えてみましょう。

 

まずは、「メーカー各社が作っている商品の現状」です。

実はというか、みなさんも気がついたと思いますが、最近特に他のメーカーの商品と違いがつかなくなってきています。たとえ、違うものを作ってもすぐに同じような商品が他のメーカーからすぐに出てくる・・・競争してますからね。となると、お客さんからすれば「安い方でいいや」とか「お店にあったら、どれでもいいや」ってことになる可能性がでてきますよね。「他にはないオンリーワンの魅力」が商品だけではつけにくいという問題があるのです。

 

さらに、お客さんの中には、商品に違いが無いのであれば、商品を作るメーカーそのものの考え方や姿勢を重視するという人も現れ始めました。みんなも聞いたことがある「ブランド」での商品選び。「ブランド」っていうのは、お客さんが思うそのメーカーの印象で、例えば「先進的な事をする企業」とか「地球環境を大切にする企業」とかそういったものを指します。(ここはまた別のテーマで考えましょう)

 

次に「販売されている状態や現状」の視点から考えてみましょう。

 

通常は、メーカーが作った商品は小売店を通じて販売しているよね。最近では、インターネットを使って直接販売するところも出てきましたが、小売店から文句も出るのであまり大々的にはやってない。(ホントにそうなんですよ~笑)

 

で、小売店で販売する時は、競争相手の商品と一緒に売られているよね。

 

すると、どうなるかな。比較をされて売られるんだけど、お店では商品の良さや違いは分かりづらいよね。(小売店は、よほどの理由がないかぎり、特定の商品を「えこひいき」しないし、する必要もないんです。なぜかというと、小売店にとっては「どれが売れてもいいから」なんですが・・・)

 

なので、それを補うために、TVCFやホームページでその商品の特長やイメージを情報発信、いわゆる、広告宣伝を行うんですが、どうもそれだけでは伝わりにくくなってきた。お客さんにとっては、いろんな情報が多すぎて、ほぼスルーされてしまっているのが現状なんです。

 

せっかく、いい商品を作っても気付いてもらえなかったり、良さをわかってもらえなかったりしているという問題がここにあるんですね。

 

Q3.これまで、メーカーは商品を知ってもらい、ファンになってもらうためにTVCFや雑誌広告、あるいはホームページでその商品の特長やイメージを情報発信する、いわゆる広告宣伝を行っていましたが、それとこういった施設を作ることの違いをみなさんで考えてみてください。(思考力

 

これはどう考えましたか?

違いは、施設やショップには「(自分たちの商品だけに)直接的な体験と交流がある」っていうことです。

 

広告宣伝は、メーカーからの一方通行の情報発信ですよね。今、こういった情報って、お客さんが聞いてくれない、信じてくれない状態です。他社も同じような広告宣伝もしている。逆に、インターネットでお客さん自身が商品の評価やレビューと言った口コミを情報発信し、それを頼りに商品を選ぶ人がたくさん増えた。

 

これまで、メーカーが商品以外で直接お客さんと接する事ってホントに少なくって、メーカーから伝えたい事や、逆にお客さんから聞きたいこと等があまり聞けない状態でしたが、こういったことからより積極的にお客さんと接点を取る必要が生まれました。

 

直接的な接点をつくり、広告宣伝や売っているお店では伝わらない「体験」や「経験」をしてもらう機会を作って、それを通じて商品を知り、違いを実感したり、メーカーとしてその商品を使ってこんな暮らしを!といったコトを実際に体験してもらい、実感していただいて、好感を持っていただくということが狙いに展開をされています。

 

また、ファンとなったお客さん自身がその体験を拡散してくれることで、他のお客さんにも伝わるという口コミ効果も上手く使うための方法とも言えますね。

なので、メーカーが施設やショップを作って自分たちの商品を体験してもらって、ファンになってもらおうとなったんですね。

 

Q4.では、ここまでの分析から、「なぜ、メーカーは施設やショップをつくるのか」を400文字まででまとめてみてください(要約力)

 

まとめてみましょう。あくまで例です。

 

「メーカーによる施設やショップづくりは、商品やメーカーの考えなどを顧客に直接体験経験してもらい、ファンになってもらうことを狙いに展開されています。その背景にはメーカー各社の商品に魅力的な違いがなくなってきたことや、小売店での販売方法では、商品の良さが顧客へ伝わらなくなってきたことが挙げられます。また顧客の方も、メーカーなどの企業からの一方的な広告宣伝以上に、顧客自身が発信する口コミ情報などを重視した商品選択を行ったり、商品だけではない企業のものづくり姿勢や、考え方を重視したブランドとしての商品選択を行うようになってきています。このことから、メーカーが直接顧客と接する場をつくり、商品や企業としての考え方を顧客へ体験して頂くことで、商品と企業への理解と共感をしてもらうことでファンとなって頂き、またその体験を他の顧客へ伝えてもらうことで、継続的な購入や、新しい顧客作りに繋げるため行われています。」

 

(399文字!)

 

いかがでしたか?今回のテーマは本格的なマーケティングでしたので、少し難しかったと思いますが、よのなかで起こる「現象」には、こういった「深層」があって、それを考えること(=洞察すること)が大切なことだとわかってもらえたらよいかなと思います。

 

では、また。