中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

授業テーマ8回答例「野菜高すぎ~」

 

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みなさん、こんにちは。

早速ですが、テーマ8の回答例にいきましょう。

 

Q1 さて、一体なぜこんなに野菜が高いのでしょうか?

色々調べて原因を発見してください(情報収集・思考力)

 

一番の原因は天候不順ですよね。


2017年の10月や11月に九州・四国・本州を台風18号が横断し、農作物に大きな影響を与えました。農水省によると、農地やハウスなどの農業用施設、家畜の死亡などの農林水産被害(2017年10月19日午前10時現在)で43道府県で319億円にのぼるとしています。


またその後、低温気象が続き、作物の生育が悪くなったこともあげられます。
その時点では、2月には戻るとも言われていたのですが、今年に入り近年まれに見る豪雪でさらに被害が悪化してしまいました。2月21日、農水省は、レタスは値下がりの時期を3月上旬に、ダイコンやキャベツは3月中旬以降になるとして、これまでの発表より2週間程度遅くなるとリリースしました。


今農家の方が育てておられる春物の野菜などにも影響が残りそうにも思います。
こういった話を聞くと、日ごろ何気に買っている野菜を育てる苦労がよくわかり、農家の皆さんへ感謝ですよね。
 

Q2 野菜を作って、皆さんの食卓に入るまでの流れを教えてください。

   (情報収集力・整理力)

 

さあ、これはみなさんどんなふうになりましたか?細かくできたかな?
たとえば、こんな回答だった方は?

 

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一番シンプルに流れを書くと、こうなりますね。
もう少し考えた人はおそらくこんな流れかな?

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ここまで考えられた方、素晴らしい!
野菜を作って、食卓に並ぶまでのモノの流れはこんな流れになっています。
JAや、野菜を加工するところ、卸売市場という場所の存在を知っていましたか?

で、これをさらに細かくするとこんな風になります。

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それぞれの過程をより細かくしてみました。どうでしょう?野菜が食卓に届くまでにいろんなことをやらないといけないことが分かりましたか?
こういう流れを整理していく図を「フローチャート」といいます。

こうやって、プロセスを分解していくといろんなことが分かりますよね。今、学校でパソコンを使ってプログラミング教育とかされている方のいるかと思いますが、こうやって整理していくことがプログラミングの基本の一つで、考え方として共通するものがあるのではないかとも思います。
社会にでると、このフローチャートは良く使いますので、知っておいてくださいね。

 

Q3 Q2の流れとQ1の原因を紐付けてみてください。

流れのここのところで、こんな原因があったという風に考えてみてください。

(思考力)

 

さて、流れが見えてきましたので、なぜ野菜が高いのか、その原因が流れの中のどこに影響しているのかを見つけましょうか?

回答例としては、こんな感じになります。

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 野菜を作るプロセスに天候不順が影響しているのはみんなもわかりますよね。
でも細かくするとそれだけではないようです。

例えば、今年の豪雪は、野菜の輸送にも大きく影響を与えました。予定通り運べないのでスーパーに野菜がないという状態ですね。この輸送を行うトラックにも価格高騰は少し影響しています。それは、トラックの燃料(ガソリンや軽油)の価格が今高いんです。その費用は輸送する費用にも影響しますよね。

さらにです。卸売市場に集まった野菜をセリにかけて卸売価格という値段がつくのですが、集まる野菜の量が少ないとどうなるでしょう?多くのお店が欲しい、でも数が少ない。となると、買い付ける値段をあげてでも欲しいとなる。ここが高騰する原因です。

これは需要と供給といわれる経済のお話です。
これは知ってるかな?

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 需要と供給はこんな風になっています。需要を簡単に言うと、野菜が欲しい人や
店の数(=欲しい量)です。供給も簡単に言うと、提供できる野菜の量です。
この関係で価格が決まります。普通であれば、欲しい量と提供できる量が
交わっているところで価格は決まりますが、今回のように提供できる量が少なくなると、グラフでいうと左側へ状況が変化するので、価格が上がってしまうのですね。

わかりますよね。

まとめると、天候不順で生育が悪くなった野菜を運ぶ輸送にも影響。
卸売市場での供給が需要を下回り、価格が上がっている。ということになります。

 

Q4 これに対して、世の中のお母さんはどう工夫しているでしょうか?また、スーパーはどう工夫しているでしょうか?

(情報収集力・思考力)

 

野菜の高騰で、まずお母さんはいろんなスーパーを買い回り、少しでも安いところを探そうとしますよね。お母さん大変!(笑&ありがとうございます!)。

さらに、今必要な分だけを買いたくなるので、少量の野菜を買ったり、カット野菜を買ったりしています。また、価格が安定している冷凍の野菜を利用したりします。(冷凍の野菜は、野菜が不足する以前に冷凍保存されたものですので、比較的価格が安定しています。)

スーパーは、少しでも安く提供しようと、野菜を小分けして売ったりします。
キャベツを一球ではなく、2分の1や4分の1にしたものをたくさん並べます。
あるスーパーでは、天候不順でリンゴが被害にあった時、現地へ行って収穫前に
台風で落ちてしまったリンゴを集めて、安く提供するというようなこともしています。

さあ、今回のテーマいかがでしたか?いろいろ気づきはあったでしょうか?
また感想や意見も聞かせてくださいね。

では、また。