中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

テーマ18 回答例「自販機の秘密」

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みなさん、こんにちは。

9月になりました。新学期スタートですね。2学期も学校生活楽しんでくださいね。

 

では、今回のテーマ自販機の秘密の回答例です。

 

Q1皆さんの周りにある自動販売機をよ〜く見て、並べ方の狙いを考えてみてください。(情報収集力 思考力)

 

どうですか?色々自販機見てもらえましたか?街の中にたくさんある身近な自動販売機にも皆さんにとって気づきになることが沢山あるんですね。

ちなみに、2016年に一般社団法人日本自動販売機工業会が発表した資料

https://www.jvma.or.jp/information/fukyu2016.pdf

によると、2016年末の自動販売機の普及台数は約491万台あるそうです。491万台のうち、247万4600台が飲料自販機で、全体の50%を占めていますが、2015年よりは2.9%減少しているようです。コンビニエンスストアが増えたことや低価格商品自動販売機(=100円自動販売機のことかな?)の影響で自動販売機の販売金額が減少して、新たに設置しようとされるところが減っているようです。

たしかにね~ですね。

 

で、この自動販売機の秘密を公開していきます。

そこで、自動販売機を用意しました!(笑)

 

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じゃーん。どうでしょう笑。写真が使えないので、パワーポイントで作ってみました。これをつかって、お教えします。

まずは、皆さんどこに立ちますか?真ん中?ではないですよね。

そう、お金を入れる右側に寄って立つと思います。

では、バーチャルで(笑)立って見ましょうね。

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はい。そのあたりですかね(ちょっと背が高いすぎ(笑)?)

えっ、左利きだからもっと右! そう!そうなんですね。コインを入れるのにいつも利き腕を使う人が多いですよね。なので、上の絵だと右利きの人の立ち位置になりますね。わかりました!では左利きの君も立ってみましょう。

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こんなところでしょうか?もっと右かも知れませんね。

 

では、早速買ってみようと思いますが・・・・

皆さんの多くは、この位置からあまり動くことないと思います。とすると、2つのことを自販機側の方々は考えなければなりません。

ひとつは、手が届く範囲。皆さんもやってみるとよいのですが、大体全てのボタンには手が届くと思います。でも押しやすいところと、押しづらそうなところがあると思います。特に左利きの方はそうかもしれません。

ちょっと右利きの君で言うと・・・

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こんな感じでしょうか?濃い黄色のところは押しやすいけど、薄い黄色のところは手を伸ばす感じになりますよね。

もうひとつは、視野。お金を入れて立つということは、かなり自販機に近付いています。ということは、視野は全部にいきわたりにくくなりますよね。

わかりやすいように、ちょっと極端に説明すると・・・

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緑あたりの範囲には視線が行きやすいですよね。

ここが、ポイントです!

沢山の種類の商品を並べることの出来る自動販売機ほど、ボタンを押してもらいやすかったり、見てもらいやすい場所があって、みんなが均等に見て、押してもらえるわけではないんですね。

だから、どこに、何を並べるかを考えないといけないというわけです。

で、一般的に飲料メーカーの担当者はどう考えているか?

みなさんも見てきて考えてくれたと思いますが、実はこういう考えで並べる自動販売機が多いです。

まずは、ゴールデンゾーンとよばれるところ。具体的にはここといわれています。

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なぜかというと、お金を入れる投入口に一番近いから。お金を入れて、ふと目を上げたところです。ここには今一番売りたいものを並べる場合が多いですね。夏限定のとか、新製品とか、気付いてもらって、これ試してみようと思ってもらうような商品をならべます。

次は、2番目に大切なゾーン。

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そうこのあたりですね。ここもゴールデンゾーンと同様に売りたい商品を並べることが多いゾーンです。たとえば、最近では100円の飲料が増えましたが、それよりも少し付加価値の高い商品で130円で売るようなものでしょうか?缶でなくボトルのコーヒーなどがそれにあたると思います。

そんな風になっていませんか?

では、ここってどんな商品が並べられると思いますか?

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視線は行きにくいし、手も伸ばす必要がありますね。実はここは指名買いの多い商品を並べます。指名買い商品というのは、選ぶことなく「これが飲みたい!」と思ってもらってもらっているような商品のこと。この商品は自販機の前で探してでも買いたいと見渡してもらえるので、この位置でも売れるんですね。

 

以前は、ここに並べる商品はその飲料メーカーの代表選手の場合が多かったのですが、最近よく見てみると、それぞれの自販機で一番良く売れているものがこの位置にあったりするように私は見ています。自販機の中の商品の販売数を見て分析をして並べ方を改善する。あるいは、売れる商品は、いくつも並べることで、品切れをおこさないなど、工夫をしながら、並べていくことで自販機あたりの販売額を最大にしていく、そんなことを行いながら、皆さんに立ち寄ってもらえる自販機を各社が目指しています。

よく考えてあるでしょう~笑

 

では他の位置は売れないの?とおもった方もいらっしゃると思います。他の位置はなかなか見てもらえないので、どうするかといえば、目立つように演出をする。よく目立つ色のシールを貼ったり、陳列商品の下に台を置いたり、背景色を変えたりしているでしょう?あれです。こういったものをPOP(ピーオーピーとかポップ)とか言います。これで、買いに来た人に「見て!見て」とアピールをして、少しでも選んでもらえるようにされています。

こんな風にね。

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なるほど~でしょうか?

今回は、自販機で並べ方の秘密を皆さんに考えてもらいましたが、これ実はコンビニエンスストアやスーパーあるいは様々なお店で同じように色々考えてされていることなんです。そのあたりは、今後またテーマにしていきます。

いかがでしたか?

自販機ひとつにもこういったことを考える仕事があることもわかりましたね。

 

実は以前に飲料メーカーさんのトラックに乗って、商品を補充する体験をしたことがあります。当時、20年位前かなあ、商品を補充するのは、担当者のカンと経験に頼る部分が多かったんです。あそこの自販機は多分これが売り切れているとか、担当者が考えて行くのですが、外れている場合もあって大変そうでしたが、今は自動販売機の中に通信機能があって、どの自動販売機でどの商品がなくなっているというのが行く前からわかるようになっています。その情報を元に行く順序や道なども一番時間のかからない方法でいけるようになりました。猛暑の中、みんなのために自動販売機に売り切れを出さずに走るトラックと担当者にを見かけたら、そんなことも思い出してもらいつつ、感謝してもらえると嬉しいです。

 

では、また。