中学・高校生のための よのなかマーケティング・キャリア教育 授業テーマ集

中学・高校の「現代社会」「公共」「総合的な学習の時間」で、これから求められる「思考力・判断力・表現力」を養うための探求型授業で使える授業テーマ集です。 Copyright Masanori yano

特別授業その2<教材付>「探求型(問題発見・分析・思考力)新型コロナから、ラーメン屋さんを救え!」

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<a href="https://www.photo-ac.com/profile/43626">acworks</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

 

皆さん、こんにちは。

まだまだ、続くコロナウイルスの影響。。。。

皆さんは、どう過ごしていますか? 卒業式などちらちら見かけますが、どこも規模縮小の様子。再開した学校もあるようですが、皆さんピリピリした雰囲気ですよね。

ようやく春が少し感じられる中なのに・・・

 

今、その中心がヨーロッパにあるとされています。

まだまだ続きそうな感じもしますが、いち早い収束を祈りたい!

と思います。

 

前回は特別授業として、この新型コロナウイルスによる よのなかの影響を正しくつかむことを授業テーマにしましたが、どうでしたか?

 

「情報を収集し、何が正しいのか判断し自分自身の意見を伝え、行動する・・・」

 

まさに今私たちのメディアリテラシーが試されています。

 
そのために正しく情報をつかむことは一番大切なことではと考えています。あれから2週間たって新しい情報がたくさん出てきていますので、前回の教材を使ってアップデートしてもらえれば幸いです。

 

さて、今回も特別授業として、今起こっている問題を皆さんと考えてみたいと思います。

 

今、様々なところで自粛要請が行われていますね。

ヨーロッパでは、不要不急の外出禁止や生活必需品以外の店舗の休業要請など、できるだけ今感染者を広げない動きが起こっています。日本ではイベントの中止や延期、北海道などでは非常事態宣言も出されましたし、それ以外のところでもいろいろ自粛要請があって、よのなかのリズムがおかしなことになっていますよね。

 

その影響で、外食のお店が大きな問題に直面しています。

 

お客さんが来てくれないのです。

 

もちろん外国人観光客が減ったということもあるのですが、国内のお客さんも何となく敬遠気味で、お店が開店休業状態・・・

お店を営む店主さんもどうしたものか悩まれ、お店によっては倒産してしまう可能性も出てきました。今、国をあげて支援が始まろうとしています。

 

そこで、今回の授業は、皆さんにそのことを実感してもらいながら、今をどう乗り切るか考えてもらいたいというものです。

 

教科では算数と社会に関わると思います。

 

題して、

「新型コロナから、ラーメン屋さんを救え!」です。

 

皆さん、ラーメン好きでしょ?よく行くラーメン屋さんがピンチだったとしたらどう?

つぶれたりなんかしたら、ショックだよね。

 

そこで皆さんにこれから伝える2つのラーメン屋さんを助けてもらいたいのです。

今から、どんなラーメン屋さんかを数字で紹介します。

 

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これは2つのラーメン店のお金の出入りに少し情報を加えた表です。1か月にどのくらいのお客さんが来て、どのくらい売上があって、利益はどのくらいかを示しています。

 

本当にこういった表で管理するんですよ。ホントの項目は違いますが、毎月の営業状況を管理するシートを損益計算書(P/L=Profit and Loss シート)」といいます。

 

上から少し説明すると、

 

・営業日数=1か月に何日お店を営業していたか

 

・営業時間=1日何時間営業していたか

 

・1か月の来店客数=1か月に来てもらえたお客様の数

 

・ラーメン一杯の値段=ここではどちらの店もメニューは一つとします。

 

・売上=1か月の売上で来店客数にラーメン一杯の値段をかけたものですよね。

 

・ラーメンの原価率=ラーメンをつくる材料費(=「原価」といいます。)が値段に対してどのくらいの割合かを示しています。

 

・ラーメンの原価金額=1か月にかかった材料費全体の金額です。

 

・ラーメンの利益=売上から材料費を引いた利益(正確には「粗利益」といいます)

 

・店主の給料=お店の店主さんのお給料

 

・アルバイトの数(いつも)=毎日何人のアルバイトさんに手伝ってもらっているかです。(いつも)としたのは簡略化するためにしています。

 

・アルバイトの時給=1時間のアルバイト代です。ホントは税金やらあるのですがここも簡単にしています。今どき、850円は安いか⁉笑

 

・アルバイトののべ時間数=1か月にどのくらいの時間アルバイトさんに来てもらっているかを出したものです。営業日数と営業時間とアルバイトさんの数で変わりますよね。

 

・アルバイトへ支払う給料=時給×アルバイトののべ時間数で出るよね。

 

水道光熱費=わかるよね。水道代、電気代、ガス代などのこと

 

・家賃=お店の場所を借りるお金

 

・集客のための広告費=お店を知って、来てもらうためにWebやチラシやポスターや割引クーポンなどに使うお金

 

・営業利益=売上から原価を引いて、さらに人件費や必要な経費を引いて最後に残るお金

 

わかったかな?

この表も教材シートにつけておきますね。

 

さて、ではここからクエスチョンです。

 

Q1.ラーメン屋Aとラーメン屋Bの少し数字を見てください。それぞれどんな違いがあるでしょうか?違いは、それぞれのラーメン屋さんの特徴を表しています。(分析力)

そうだな・・・一人で見てもいいし、2人一組になって話し合ってもいいですよ。

仮説でいいので、たくさん見つけることがポイントです。頭の中でどんなラーメン屋さんか想像できるといいよね。

 

皆さんがいつも見ている数字って、実はそんなことができるんですよ。

算数嫌い?笑。私も昔は苦手だったけど、いまではちょっと好きになりました。

 

さて、この2つのラーメン屋さんも新型コロナウイルスの影響を受けてしまってます。

この1か月の状況は、以下のようになってしまいました。

 

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うわ!営業利益が赤字になっています。

新型コロナの影響で、お客さんがラーメン屋Aでは毎月の半分に、ラーメン屋Bでは毎月の60%に減ってしまいました。すると、営業利益が赤字に・・・

 

これが、今起こっている状況です。

 

このまま赤字が続くとどうなりますか?この表から見て取れるように

赤字とは、売上という入ってくるお金以上に出ていくお金が多い状態ですよね。

「倒産」って、実は支払いができなくなる状態のことを言うんですよ。

数か月なら、ラーメン屋さんの店主さんの貯金でそれも支払うことができるかもしれませんが、長く続けば続くほど、それも底をつきますよね。

 

 少し、外食のお店の店主さんの大変さが実感できたかと思います。

 

では、次のクエスチョンです。皆さんに今を少しでも乗り切る方策を考えてみてほしいんです。難しい?手掛かりは今の数字の表にあります。

 

Q2.それぞれのラーメン屋さんの状況を見て、問題点を発見し、どうすれば改善できるかを教えてください。(問題発見、思考力)

これも一人で考えてもいいし、今度は、ラーメン屋AとBで別れて考えて後で話し合ってもいいですよ。もちろん2人一組で話し合ってもいいですよ。

 

答えは一つではありません。たくさん考えられることがあります。

 

あっ、各店主さんからの伝言です。

「皆さんに美味しいラーメンを提供したいので材料にかかるお金は削りたくない」

「それから、今まで通りお店は開けたい、つまり25日は営業したい」

「あと、アルバイトの時給も下げたくない」

 

とおっしゃってます。

それと・・・改善できないお金があります。

それは、水道光熱費と家賃。この費用は変えられないものとしましょうか?

 

では、まず仮説を立ててみてください。

この項目はこうすれば改善できるなとかね。

 

そのうえで、仮説を教材の中で数字を変化させてシミュレーションしてみましょう。

まずは赤字を消すのがゴールです。営業利益が0円でも大丈夫。

 

今回の教材は、パワーポイントとエクセルデータ作成しています。

上記の表がデータとして入っています。

 

ご必要であれば、以下よりご連絡ください。

 

masashiki2018.hatenablog.com

 

 

今回の授業は少し難しいかもしれませんが、この難しいことを外食のお店だけでなく、影響を受けているお店がそれぞれ考えているのが現実です。さらに現実はさらに細かく考えるべきことが多いのですが、少しでもよのなかのことを正しく知ってもらえたら幸いです。

 

※この授業テーマは、まだまだ少し改善の余地があるかと思います。

 ベータ版として取り急ぎ掲載いたします。

ご意見、ご要望等ございましたら、下記コメント欄からご連絡いただければ幸いです。

 

では、また。